『切除されて』
今回は かなり まじめ です。
『切除されて』という本を読みました。
ひとりでも この問題に
関心をもっていただける方がいれば…
そう思って ブログに書きます。
この写真は著者・キャディさんの少女時代。
セネガルで性器切除をされた後の写真だそうです。
「女子性器切除」 「女子割礼」という言葉を聞いたことがありますか?
アフリカや中東などでは
今も 年間200万人の少女が
性器切除…性器の一部を切り取られることを
させられていると言われています。
それが、どれほど
女性の体と心をむしばむことなのか
わたしは知りませんでした。
キャディさんは7つの時、性器切除を受けました。
13歳で結婚。
セネガルからフランスに移住した夫のもとへ連れて行かれます。
そして、16歳で出産。
以後、毎年のように出産を繰り返します。
性器切除をされた女性は
長年の腹痛や出産時の激痛、裂傷、
しかも多くが十代から何人もの子を産むために
身体への負担が大きくのしかかるそうです。
でも、いちばんの苦しみのひとつは
性の悦びを感じることがないこと。
キャディさんの場合は 夫との間に愛情はなく、
拒むことすらできなかったそうです。
痛みや苦しみはあっても、パートナーと分かち合うことはない。
快楽は男性のためにだけあり、
女性は服従すべきもの…
それはつまり、性器切除は 女性の「性」を奪うこと。
決して、宗教上の習わしなどではなく、
男性のいいなりにさせるための悪しき因習
…なのだそうです。
でも、この本が
性器切除の苦しみやむごさだけを書いているのかというと、
わたしは そうではないと思います。
この本は
フランスに連れてこられ、
夫の家庭内暴力と愛のない生活に耐え続けた女性が
自立と自由を勝ち取るまでをつづっています。
読み終えた今、こう思っています。
わたしも、キャディさんのように
前向きに進むことができたら、と。
そして、
ひとりでも この問題を知ってもらえたら。
非難の声を 遠く 日本からでも あげることができたら、と。
キャディさんは 今、女性と子どもの権利を守るために作られた団体
「ラ・パラーブル」のヨーロッパ代表を務めています。
2005年には 国連の式典でスピーチ。
性器切除を未だに続けている地域の女性たちを
説得する闘いを続けているそうです。
『切除されて』 キャディ 著 松本百合子 訳
ヴィレッジブックス
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